「いますぐいちどに、すべて問題を解決しようと思うな。ゆっくりかまえて、一日一日を、せめて悔いなく送りたまえ。幸福は、三年おくれて来る、とか。」
太宰の随筆で読んだ一文。
この一文が私はずっと大好きだ。
「幸福は、三年おくれて来る」
それは、未来への大きな希望のような、でも太宰が書くことによって全部嘘になってしまうような、まるで自分に言い聞かせるための呪文のような言葉。
努力は報われないこともある。
毎秒神に祈っても叶わない祈りもある。
夢を見るたび、正月が来るたび、流れ星が降るたび、いつも祈っていた願いがあった。
救いたかった人がいた。
諦められない悔しさを、いまだに心のどこかに潜ませている気がする。
死にたいと嘆く日も、苦しさで身を保っていられない日もたくさんある。それはたくさん、たくさんある。
それでも私はあと三年は生きる。
おくれて来るかもしれない幸福とすれ違わないために。