いつも美容院の帰りに会うと、
いい匂い、と言って喜んでくれた。
だから私は昨日も美容院を予約していた。
でもあの人はいなくなっちゃったから、昨日の私はただ7700円払ってかわいくなっただけ。
会う日はいつも一枚600円もするパックをして、甘い匂いのするグロスを付けた。
その人が好きとか嫌いとか、あんまり関係なかった。
ただ誰かのためにオシャレして出かける自分が好きだっただけなんだと思う。
女友達はみんな私の変化にすぐ気付いてくれる。
「髪染めた?」「ネイル変えた?」「そのリップ可愛い!」
いつも私の1番気合いを入れた部分を褒めてくれる。
だけど私のその変化は全部男に向けられてる。
最低だけど、大好きな女友達に言われる「かわいい」よりも、どうでもいい相手でも男に言われる「かわいい」の方が、うれしい。
私はそんな人間だ。
今は、そんな私の醜さが気持ち悪いというよりも、すごく虚しい。